PCSK9欠損マウスは心臓代謝が変化しHFpEFになる
PCSK9 deficiency rewires heart metabolism and drives heart failure with preserved ejection fraction
背景
PCSK9は主に肝臓から分泌されてLDL受容体の発現を阻害するが、肝以外での生理活性は不明である。イタリア University of MilanのCatapanoらは、Pcsk9 KOマウス・Pcsk9/LdlrダブルKOマウス・肝特異的Pcsk9コンディショナルKOマウスを用いた表現型解析を行った。
結論
Pcsk9 KOマウスは運動負荷耐性の減少と左室壁厚の増大というHFpEFの表現型を示し、心臓ミトコンドリア活性の低下がみられた。Pcsk9/Ldlr DKOマウスでも同様の表現型がみられ、LDL受容体とは独立的であった。肝特異的Pcsk9 cKOマウスはこれら表現型関し野生型と差はなかった。PLIC研究コホート集団では、PCSK9のR46Lバリアント保有はLVMIの増大と関連した。
評価
遺伝的PCSK9欠損者や同阻害薬治療でDMや脂質代謝異常がみられる、という臨床観察を検討すべく行われているマウスレベル実験で、PCSK9欠損の予期せぬ肝外効果を同定した。このデータでは薬剤による循環PCSK9の阻害がHFpEFを起因するとは言えないが、臨床試験による確認が必要である。