すでにPCIセンターがある地域に新たなセンターを開設してもアウトカムは改善しない
Percutaneous Coronary Intervention Facility Access and Clinical Outcomes Among Patients With Acute Myocardial Infarction
背景
急性心筋梗塞(AMI)に対する迅速な経皮的冠動脈インターベンション(PCI)はアウトカムの改善につながる。そのため、近年ではPCIが実施可能な施設へのアクセスが悪い地域を中心にPCIセンターの増設が行われてきたが、過度なPCIセンター増設には、各施設の年間症例数が低下することで治療成績が悪化する(volume-outcome relationship)という懸念も存在する。
アメリカNaval Postgraduate SchoolのShenらは、2011年から2022年にカリフォルニア州で発生した、AMIを主診断とする成人入院(n=590,282)を対象とし、期間中の新たなPCI実施施設の開設とアウトカムとの関係が、車で30分以内のPCI実施施設の有無によって変化するかを調査した。
結論
対象患者の85%は2011年時点でPCIが利用可能な地域に、15%は利用不可能な地域に居住していた。
2011年時点でPCIが利用不可能な地域に居住していた患者(n=89,504)のうち21%は、2022年までに利用可能なPCI施設が開設された地域に居住していた。
PCI施設の新規開設は、PCI施設への入院を30.0パーセントポイント、PCI実施を5.1%ポイント増加させ、30日死亡率を−1.8パーセントポイント、1年死亡率を−2.8パーセントポイント低下させた。
一方で2011年時点でPCIが利用可能な地域に、PCI施設が新規に開設されても、入院(1.5パーセントポイント)・PCI実施(1.0パーセントポイント)がわずかに増加、30日以内の予定外受診(-0.7パーセントポイント)が減少したのみで、死亡率に変化は認められなかった。
PCI実施施設の定義を年間10件から50件に引き上げた感度分析でも結果は同様であった。
評価
予想された結果ではあるが、PCIセンターの新規開設はセンターへのアクセスが悪い地域でのみ効果的で、既にPCIセンターが存在する地域では効果はほとんど認められなかった。
望ましいPCI提供体制を形成するためには、各地域のアクセスと患者アウトカムの状況を正しく把握する必要があるだろう。


