認知機能低下をともなう無症候性頸動脈狭窄患者への血行再建は認知機能を改善しない:CREST-H試験
Revascularization in Asymptomatic Carotid Artery Stenosis With Hemodynamic Impairment and Cognitive Outcomes: The CREST-H Substudy of the CREST-2 Randomized Clinical Trial
背景
無症候性高度頸動脈狭窄症に伴う認知機能低下は、血行再建による脳灌流の回復で改善するか。
アメリカColumbia UniversityのMarshallら(CREST-H)は、アメリカ・カナダの61施設で35〜86歳の片側性無症候性内頸動脈狭窄70%以上の患者392名を対象としたCREST-2RCTの二次解析として、血行再建+集中的内科治療と集中的内科治療単独を比較した。一次アウトカムは、ベースラインで認知機能が低下した患者における、脳血行動態障害の程度と治療群の交互作用を考慮した1年後の複合認知機能zスコアの群間差である。
結論
392名中、画像・認知機能検査等が揃った291名のデータを解析した。ベースラインで認知機能低下があった51名の主要解析で、血行再建による1年後の認知機能改善は認められなかった:調整済み群間差−0.15 SD。脳血行動態障害の程度と治療群の交互作用も有意でなかった(β=0.018)。
評価
頸動脈狭窄による脳灌流低下が認知機能障害を引き起こし、血行再建で回復し得る、という仮説をRCT内で否定した。同時発表のCREST-2認知機能解析(2,165名、最長4年)でも血行再建による認知機能改善は確認されておらず、本研究は脳血流障害の程度による効果修飾という副次仮説にも支持を与えなかった。認知機能改善を目的とする血行再建にはエビデンスがない、ということになる。一方、主要解析は認知機能低下のある51名に限られ、交互作用の検出精度に制約があるうえ、血行再建方法を統合して解析している。また、認知症患者や症候性狭窄症患者には適用できない。


