低リスク胸痛患者の不安をオンライン認知行動療法で解決する:PACER試験
Telehealth Treatment of Anxiety in Patients With Low-Risk Chest Pain in the Emergency Department: The PACER Randomized Clinical Trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
JAMA Internal Medicine
年月
September 2026
巻
Online first
開始ページ
Online first

背景

胸痛によって救急外来を受診した患者のほとんどは急性冠症候群の除外診断を受け、短期的な心血管イベントが低いと判断されることになるが、適正な診療プロセスを経ても、少なくない患者で強い不安が残ったり、一部には新たなパニック障害の発症が起こるというデータがある。
アメリカIndiana University School of MedicineのMuseyら(PACER)は、6施設の大学病院救急外来において、退院したが中等度以上の不安を呈する低リスク胸痛患者を、1) プライマリケアでのフォローアップ、2) ピア・サポート併用インターネットベースの認知行動療法(iCBT)、3) セラピストによる遠隔の認知行動療法へと割り付け、12ヵ月間のGAD-7不安スコアの変化を比較するRCTを実施した(n=375)。

結論

12ヵ月間のGAD-7(平均)は、3群とも有意に改善した(4.32ポイント、5.54ポイント、5.13ポイント)。ピア・サポート併用iCBT群の改善は、プライマリケアへの紹介と比して1.22ポイント高く、重度の不安を抱える患者では特に効果が顕著であった。
抑うつ、身体化、能力低下は各群で中程度に改善し、群間差は認められなかった。全般的不安改善のオッズはピア・サポート併用iCBT群と遠隔CBT群で3倍高かった。

評価

非心臓性胸痛患者では不安・パニックが高頻度で認められ、一部の患者では心理的要因が胸痛の発現・持続に関与していると考えられるが、こうした要因に対する救急外来の対処・支援は十分とは言えなかった。
本研究は、ピア・サポート付きのiCBTとセラピストによる遠隔CBTが、低リスク胸痛患者の不安を軽減することを示した。特に不安の強い患者に対して合理的な選択肢となるだろう。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス)

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)