再開通後の脳梗塞患者での最適な血圧目標は再開度で異なる:HOPE試験
Personalized Blood Pressure Targeting After Endovascular Therapy for Acute Ischemic Stroke: A Randomized Clinical Trial

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
JAMA Neurology
年月
August 2026
巻
83
開始ページ
788

背景

再開通後の脳梗塞急性期患者では、観察研究レベルで血圧上昇と予後悪化との関連が示されており、降圧治療の有益性が期待されていた。しかし、ENCHANTED試験以降の6件のRCTはいずれもニュートラルもしくはネガティブ結果に終わっており、一律に降圧を行うことはむしろ有害であるとのコンセンサスが形成されていた。
スペインInstitut de Recerca Sant PauのCamps-Renomら(HOPE)は、同国11ヵ所の脳卒中センターにおいて、血管内治療により再開通が達成された(mTICI ≧2b)急性虚血性脳卒中患者を対象に、mTICIスコアに基づく血圧管理戦略(介入群)、またはガイドライン推奨管理(対照群)へと割り付け、90日時点での修正ランキンスケール(mRS)を比較する医師主導による多施設RCTを実施した。介入群に対してはmTICIスコアが2bの場合収縮期血圧140〜160 mmHg、2c/3の場合100〜140 mmHg、対照群に対しては180 mmHg未満を目標とする管理が行われた。

結論

資金不足のため、試験は早期に中止された(n=446)。mRSが0〜2の機能的良好アウトカム率は、介入群で60.0%、対照群で47.1%と、介入により有意に改善した(絶対リスク差 13.3%)。
梗塞の出血性転換は介入群の22.3%、対照群の31.6%で発生した(オッズ比  0.62)。症候性頭蓋内出血(3.5% vs. 3.9%)・90日死亡率(15.4% vs. 15.6%)に有意な差は認められなかった。

評価

再開通後のmTICIスコアに基づいて目標血圧を層別化する降圧戦略は、有害事象を増加させることなく機能的アウトカムを有意に改善した。
予定登録数に達する前に終了したこと、mTICIスコア2b患者が1割に満たなかったことなど制限はあるものの、血栓回収後の血圧管理は灌流状態によって個別化可能であるという概念を実証した重要な結果である。類似のテーマでは術前の側副血行により層別化を行うRESCUE-BP試験も進行中である(NCT07527013)。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス)

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)