電動キックボードは頭部外傷が多い?:イギリス
E-scooter riders sustain more head and internal injuries than motorcyclists and cyclists in England and Wales
背景
電動キックボード(電動スクーター、eスクーター)は都市部の生活風景として急速に一般化しているが、その一方で電動キックボードによる事故・受傷件数の増加が報告されているほか、自転車など他のモビリティと比較して重傷・頭部外傷リスクが高いという報告も現れている。
イギリスMorriston HospitalのKungwengweらは、イングランドおよびウェールズの外傷レジストリ、National Major Trauma Registry(n=15,247)と、18都市の事業者によるレンタルモビリティ事故データ(n=23,193)を組み合わせ、電動キックボード・オートバイ・自転車による事故の受傷パターンと重症度を比較し、さらに利用者の年齢・性別・貧困と重症度との関連を調査した。
結論
電動キックボード運転者の外傷は、オートバイ運転者と比較して外傷性脳損傷(TBI)が多く(相対リスク 3.45)、内臓損傷(1.46)、血管損傷(3.24)のリスクが高く、骨折のリスクは低かった(0.80)。電動キックボード運転者の外傷100件あたり、TBIは36イベント、内臓損傷は36イベント、血管損傷は7.6イベント、骨折は約43イベント発生した。
電動キックボード運転者の外傷のうち16.2%が18歳未満で、オートバイ(6.2%)や自転車(8.95)よりも頻度が高かった。受傷した電動キックボード運転者ではヘルメットの着用率が低かった(5.9%; オートバイ75.7%, 自転車45.0%)。
事業者のデータからは、搭乗1万回あたりの事故件数は都市間で2.83〜21.05件と差があり、地域の貧困度と関連した。また、女性では重症度が高かった(調整オッズ比 2.13)。
評価
イギリスの全国規模のデータから、電動キックボード事故でのTBIの多さを再確認し、さらに内臓・血管損傷も特徴的にみられることを明らかにした。
本研究は事業者のデータを利用し、都市ごとの事故率の違いや社会経済学的背景との関連を比較した点でも重要で、今後は利用実態に応じたインフラ整備・規制変更なども重要な検討課題となるだろう。


