再灌流後の脳梗塞患者で頭部挙上は有益か?:HeadSOAR試験
Head positioning after endovascular therapy for acute stroke due to large vessel occlusion (HeadSOAR): multicentre randomised controlled trial
背景
急性脳虚血時の頭位と脳血流には関連があり、再灌流前の主幹動脈閉塞(LVO)では水平寄りの体位にすることで虚血側の血流量が増加するという示唆がある一方、頭蓋内圧亢進や脳浮腫、誤嚥などが問題となる再灌流後には頭部挙上の利点が期待されている。これまでのRCTでは、脳卒中患者で0°と30°を比較したHeadPoST試験では有意な差がなく(https://doi.org/10.1056/NEJMoa1615715)、再灌流前のLVO患者で0°と30°を比較したZODIAC試験では頭部挙上の有害性が示された(https://doi.org/10.1001/jamaneurol.2025.2253)。
中国Southwest Medical UniversityのYuanら(HeadSOAR)は、同国67施設の総合脳卒中センターで、血管内血栓回収療法を受けeTICIスコアが2b以上となった前方循環系LVOによる急性虚血性脳卒中患者(n=1368)を、72時間の頭部挙上位(30-40°)または水平位(0-10°)へと割り付け、90日時点での機能的アウトカムおよび全原因死亡を評価するRCTを実施した。
結論
90日後の修正ランキンスケールは、挙上群・水平群とも中央値3であった(調整済み一般化オッズ比 1.12)。
90日全原因死亡率は挙上群18.3%、水平群20.3%であった(調整済みリスク比 0.86)。
評価
理論的には頭部挙上のベネフィットが期待される再灌流後の患者を対象とした試験であったが、メインアウトカムに差はなく、さらにsICH、頭蓋内出血、肺炎、脳浮腫などにも明確な差は認められなかった。
ZODIAC試験の結果も併せれば、梗塞中は水平位とし、再灌流後はリスクに応じて個別に判断するのが妥当と考えられる。


