救急胸痛患者での0/1時間アルゴリズムは安全だが滞在時間は短縮せず:PRESC1SE-MI試験
Safety and efficacy of the 0/1 h pathway for myocardial infarction in the emergency department: an international, pragmatic, stepped-wedge, cluster-randomised, controlled trial

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
August 2026
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開始ページ
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背景

高感度心筋トロポニン(hs-cTn)検査の登場により、従来に比べ短時間(0/1時間)の連続測定による心筋梗塞の除外が可能となった。現在では救急胸痛患者での標準的戦略とみなされている0/1時間アルゴリズムだが、実際の救急診療へ導入した場合に患者の滞在時間を短縮できるか否かは必ずしも明らかではなかった。
スイスUniversity of BaselのBoeddinghausらは、0/1時間アルゴリズムの安全性と有効性を検証するため、アジア・アメリカ・ヨーロッパの10ヵ国の19施設をクラスターランダム化したステップウェッジ方式の実用的クラスターランダム化非劣性・優越性試験を実施した。
急性非外傷性胸部不快感・その他心筋梗塞が疑われる救急成人患者に対して0/3時間アルゴリズムを採用している施設が、6ヵ月後(早期導入)または12ヵ月後(後期導入)の0/1時間アルゴリズム導入へと割り付けられ、30日以内の全原因死亡・1型心筋梗塞(安全性アウトカム)に関する0/1時間アルゴリズムの非劣性と、救急滞在時間(有効性アウトカム)に関する優越性が検証された。

結論

2020年12月から2024年12月の期間に、71,983件の連続受診がスクリーニングされ、うち67,624件が解析対象となった。36,464名が0/3時間アルゴリズム、31,160名が0/1時間アルゴリズムによる管理を受けた。
30日以内の全原因死亡および新規1型心筋梗塞は、0/1時間群の1.1%、0/3時間群の1.2%で発生した(調整オッズ比 0.93)。0/1時間アルゴリズムは安全性アウトカムに関する非劣性基準を満たした。
救急滞在時間(中央値)は、0/1時間群で309分、0/3時間群で309分であった(調整中央値比 1.00)。0/1時間アルゴリズムは有効性に関する優越性基準を満たさなかった。

評価

診断・除外精度についてはすでに十分確立していた0/1時間アルゴリズムだが、救急滞在時間への効果については既存結果にバラツキがあり、本試験でも0/1時間と0/3時間で滞在時間が全く変わらないという、やや意外な結果となった。
ESC Congress 2026では本試験を含むメタアナリシスも発表されているが、そちらでも滞在時間、直接帰宅率の差は示されなかった。救急胸痛患者の診療パスウェイは複雑であり、連続hs-cTn測定だけが患者フローのボトルネックではないと考えるべきなのかもしれない。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)