救急の原因不明失神患者でのホルター心電図は有益か?:ASPIRED試験
Immediate Ambulatory Electrocardiographic Monitoring in Syncope

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
August 2026
巻
Online first
開始ページ
Online first

背景

失神によって救急外来を受診した患者の半数は原因の特定に至らないとされる。不整脈性失神は症状出現時の心電図により確定診断可能だが、不整脈は間欠的で来院時の心電図や短時間モニタリングでは診断率は低い。原因不明の失神に対して初回受診時から長時間の心電図モニタリングを行うことで不整脈の特定が増加するという観察データがあるが、アウトカムの改善につながるだろうか。
イギリスUniversity of EdinburghのReedら(ASPIRED)は、同国45施設の救急外来・急性期内科病棟において、診察後も原因不明の失神患者(n=2,234)を対象に、パッチ型心電図モニタリングまたは各施設の標準治療へと割り付け、1年時点での患者報告による失神回数を比較するRCTを実施した。

結論

患者報告の失神回数(平均±標準偏差)は、介入群1.37±5.10回、標準治療群1.58±8.56回で、有意な差は認められなかった(発生率比 0.89)。
全原因死亡は介入群の1.5%、標準治療群の2.9%で発生した(オッズ比[OR] 0.50)。また、臨床的に重要な不整脈は介入群の22.0%、標準治療群の9.0%で検出された。抗不整脈薬治療はそれぞれ10.8%、7.3%で(OR 1.47)、ペースメーカーの植え込みはそれぞれ6.8%、4.6%で実施された(OR 1.49)。

評価

初診時から携帯型心電図によるモニタリングを開始しても、1年間の失神回数に有意な変化はもたらされなかった。ただし、二次アウトカムのうち臨床的に重要な失神の検出と不整脈治療は介入群で増加、死亡は介入群で減少と、ベネフィットが現れている可能性は否定できない。
類似のテーマで、より高リスクな集団におけるリアルタイム・モニタリングを検証するカナダのREMOSYNCED試験が進行中であり(NCT05066347)、早期モニタリングの利点を理解する上で併せて重要となる。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス)

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)