不祥のクローン性造血(CHIP)は、虚血性心疾患不在化でも心不全を加速する
Clonal Hematopoiesis and Risk of Progression of Heart Failure With Reduced Left Ventricular Ejection Fraction

カテゴリー
循環器
ジャーナル名
Journal of the American College of Cardiology
年月
April 2021
77
開始ページ
1747

背景

加齢で「ポテンシャル不祥のクローン性造血(CHIP)」が増加することが知られ、虚血性心疾患やHFrEFリスクとの関連も示唆されている。スペイン Murcia UniversityのPascual-Figalらは、LVEF<45%のHFrEF患者 62名を対象にdeep sequencingを行い、CHIPの心不全アウトカムへの影響を解析した。

結論

虚血性/非虚血性に関わらず、心不全でDNMT3AもしくはTET2変異を有するCHIP患者では、心不全関連死もしくは心不全入院リスクが激増していた(HR: 4.41, p<0.001)。

評価

CHIPが虚血性心疾患の非存在下でHFの進行を加速する、という初めてのエビデンスである。基礎研究ではサイトカイン活性化の関与が示されている病態で、その多面的インパクトに関する理解を深めるとともに、心不全の新しいサブタイプとして新規治療ターゲットとなる可能性がある。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)