中[高]リスク肺塞栓でのカテーテル血栓溶解療法は臨床的悪化を抑制:PRAGUE-26試験
Catheter-Directed Thrombolysis in Intermediate-High-Risk Pulmonary Embolism
背景
中間リスクの急性肺塞栓症(intermediate-risk PE)に対する血栓溶解療法は、循環動態の悪化リスクを軽減する一方で、出血性合併症の増加によるベネフィットの相殺が起こるため、ルーチン的には推奨されていない。カテーテルを用いた低用量血栓溶解療法は、出血リスクを抑えつつベネフィットを維持する代替戦略として提唱されており、2026年にはHI-PEITHO試験が、悪化リスクの高い中[高]リスク(intermediate-high-risk)PE患者において抗凝固療法を上回る有効性を持つことを実証した(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2516567)。
チェコCharles UniversityのKroupaら(PRAGUE-26)は、同国11施設の、中[高]リスク急性PEで血行動態安定かつsPESIスコアが1以上、右室機能不全、トロポニン・ナトリウム利尿ペプチドの上昇を呈する患者を対象に、カテーテル血栓溶解療法(アルテプラーゼ)+抗凝固療法、または抗凝固療法単独を割り付ける第4相医師主導RCTを実施した(n=558)。一次アウトカムはランダム化後7日以内の全原因死亡、PE再発、心肺代償不全/虚脱であった。
結論
一次アウトカムイベントは血栓溶解療法群で0.7%、標準治療群で6.8%に発生した(相対リスク 0.10)。両群の差は主として、血栓溶解療法群で心肺代償不全/虚脱イベントが減少したことによるものであった。
7日目までに臨床的に意義のある出血は血栓溶解療法群の4.6%、標準治療群の5.0%で発生した。大出血はそれぞれ1.4%、2.2%、頭蓋内出血は0.7%、0%に発生した。
血栓溶解療法群では1名が30日以内に死亡し、標準治療群では4名が7日以内に死亡した。
評価
HI-PEITHO試験に続いて、より一般的な中[高]リスクPEを対象とした本試験においても、カテーテル血栓溶解療法による早期の臨床的悪化の抑制が実証された。
今後、中[高]リスクPEのうち特に高リスクな集団においてはカテーテル血栓溶解療法が標準化していくものと考えられる。中間リスクPEでは他に、カテーテルを用いない低用量全身血栓溶解療法を検証するPEITHO-3試験(NCT04430569)、機械的血栓除去療法を検証するPEERLESS II試験(NCT06055920)なども進行中である。


