救急・急性期での精神運動興奮にはハロペリドール単剤より抗精神病薬+ベンゾジアゼピン:メタアナリシス
Comparative effectiveness and safety of pharmacological treatments for rapid tranquilisation in emergency settings: a systematic review and individual participant data network meta-analysis
背景
救急・急性期の現場における精神運動[性]興奮(psychomotor agitation, 「精神運動焦燥」とも)では、患者が診療に協力できない場合、筋注・静注による静穏化・鎮静が選択肢となるが、どのような薬剤(単剤使用または併用)を選択すべきかについてはガイドラインによって推奨が異なる。
ドイツTechnical University of MunichのSiafisらは、一般救急・精神科救急の現場で精神運動性興奮を対象に迅速な鎮静を目的とした筋注・静注を検証したRCTを特定し、参加者の個別データを用いてこれらの薬剤の有効性・安全性を比較する系統レビュー・メタアナリシスを実施した。
結論
世界8地域から18件のRCTが対象となり、うち13件が抗精神病薬、ベンゾジアゼピン系薬剤、両者の併用に関する個別データを提供していた。
中等度の興奮において鎮静を達成できる確率は、ハロペリドール単剤と比較して、抗精神病薬とベンゾジアゼピンの併用(オッズ比[OR] 12.93; 相対リスク[RR] 1.58)、ベンゾジアゼピン(5.52; 1.49)、その他の抗精神病薬(4.54; 1.45)で高くなった。
重度の興奮においても鎮静を達成できる確率は、抗精神病薬とベンゾジアゼピンの併用(OR 4.86; RR 1.73)でハロペリドール単剤と比較して高くなった。ベンゾジアゼピン(2.09; 1.38)、その他の抗精神病薬(1.70; 1.28)では効果が不確実であった。
いずれの推定値についても非精確性・異質性のため、信頼性は低かった。
ハロペリドール単剤は錐体外路症状のリスクが高く、ベンゾジアゼピン(単剤または併用)は低血圧のリスクが高かった。
評価
このテーマでは初の個別データを用いたネットワークメタ解析とみられ、抗精神病薬+ベンゾジアゼピンが最も効果的な可能性が高いこと、ハロペリドール単剤は効果が低くさらに錐体外路症状とも関連することを確認した。
日本・アメリカなどのガイドラインは、ハロペリドール単剤から第二世代抗精神病薬・ベンゾジアゼピン・併用療法という方向に進んでおり、本結果はこの方向性を裏書きする。


