術後急性疼痛に新規NaV1.8阻害薬 オピオイドに匹敵する強力な鎮痛示す
Phase 2b Trial of a NaV1.8 Inhibitor for Acute Pain

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
July 2026
395
開始ページ
454

背景

オピオイドは術後・重症外傷による侵害受容性疼痛に対して強力な鎮痛作用を持ち重要な選択肢になるが、急性期の副作用に加え依存症などのリスクがある。NaV1.8は末梢感覚神経に発現し、活動電位を発生・伝達することで疼痛に関与する電位依存性ナトリウムチャネルで、近年、suzetrigine(VX-548)などNaV1.8を標的化した新しい鎮痛薬の開発が進んでいる。
アメリカLatigo BiotherapeuticsのSinglaらは、新たな選択的NaV1.8阻害薬LTG-001の有効性・安全性を評価するため、中等度・重度の疼痛を有する腹部形成術後の患者(n=343)を対象に、低用量LTG-001、高用量LTG-001、hydrocodone+アセトアミノフェン、プラセボを1:1:1:1の比率で割り付け、48時間の治療期間を通じた疼痛スコア(NPRS)の疼痛強度差(SPID48)を比較する第2b相RCTを実施した。

結論

SPID48の最小二乗平均は、低用量LTG-001群で161.05、高用量LTG-001群で185.30、hydrocodone+アセトアミノフェン群で164.08、プラセボ群で123.22であり、低用量LTG-001・高用量LTG-001・hydrocodone+アセトアミノフェンともプラセボとの有意な差が認められた。
高用量LTG-001群では、プラセボ群と比してオピオイド薬剤のレスキュー使用が減少したが(モルヒネ換算量 [MME] 11.00)、低用量LTG-001群では減少は有意ではなかった(18.35 MME)。またレスキュー使用が不要な患者も有意に多くなった(52% vs. 22%)。
高用量LTG-001群では、プラセボ群と比して発熱および前失神(presyncope)が多かった。

評価

2025年に承認されたsuzetrigine、その後継薬VX-993とも急性疼痛に対しては効果が限定的で、NaV1.8阻害の限界が指摘されていたが、本試験の高用量LTG-001群では強力な鎮痛作用が示され、半数以上の患者でオピオイドが不要となった。
適切なNaV1.8阻害を行えば、末梢作用のみでオピオイドに匹敵する強い急性鎮痛が得られるという示唆は重要で、LTG-001で第3相試験が複数予定されているほか、同じ開発元から慢性疼痛向けのNaV1.8阻害薬LTG-321も開発中である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)