主要循環器論文は「ASA<p値>ショック」にどう対応したか
Statistical Inference in Abstracts Published in Cardiovascular Journals
背景
2016年の米国統計学会(ASA)声明は、特に医学生物学領域に大きな衝撃を与えたが、以後循環器領域ジャーナル掲載論文の統計推定法には変化があるのか。ドイツ Essen UniversityのStangらは、1975〜2019年の主要9循環器ジャーナル 84,250件のアブストラクトを対象として、統計推定法の動向を評価した。
結論
59%のアブストラクトが統計推定法を明示しており、うち79%で帰無仮説検定が用いられていた。ジャーナルにより信頼区間(CI)の提示率は異なるが(1-78%)、近年ではCIの提示が増加していた(JACCでは18%)。
評価
ASA声明(https://www.amstat.org/asa/files/pdfs/p-valuestatement.pdf)は、基本的にはp値による「統計的有意」の臨床的意義は不明とする否定的なもので、代替策を明示したものではなかった。CIを提示する、ということは最低限の改良策として合意されたもので、その線に沿うペーパーが増えてきていることが示された。

