パンデミック以降も救急医のバーンアウト率は高止まり、10%は救急医療を離れる:カナダ調査
Emergency physician burnout and attrition in Canada: a longitudinal study
背景
救急医療では高ストレス環境に起因する医療者のバーンアウト(燃え尽き症候群)が積年の課題となっており、新型コロナウイルスのパンデミック時には大きな注目を集めた。
カナダQueen's University, Kingstonのde Witらは、2020年4月に同国の救急医(n=615)のウェルビーイングに関する縦断調査を開始し、2020年11月、2022年9月、2025年1月の追跡調査を通して、情緒的消耗感・脱人格化・個人的達成感の経時的変化を評価した。
2025年の調査では自由記述による質的テーマ分析も実施された。
結論
2025年1月の調査では67%にあたる410名から回答があった。
このうち10%は既に救急医療を離れていた。また、救急に残っている回答者のうち、20%は一時的に救急医療を離れたことがあり、48%は臨床時間を短縮していた。さらに65%は高い情緒的消耗感・脱人格化を呈した。
2020年、2022年、2025年でバーンアウトのレベルは変化していなかった。自由記述の回答では、バーンアウトの原因として、医療システムの機能不全、社会からの非現実的期待、職場内の克服困難な課題が挙げられた。また、救急医療へのコミットメントを継続する対策としては、勤務時間の短縮、職務上の役割の調整、勤務施設の変更などが挙げられた。
評価
2020年から2025年にかけて救急医を縦断的に追跡することで、パンデミックの収束後もバーンアウト率が高止まりしていること、さらに一定数が離職を選んでいることを明らかにした。
勤務時間の短縮や一時的離職などは個人レベルでのバーンアウトへのコーピング戦略とも言えるが、救急システム全体としてみれば人的リソースの喪失でもあり、持続可能な救急医療へのコミットメントを可能にする制度設計は急務であろう。


