多枝病変には低侵襲小開胸CABG?:MIST試験
Multivessel coronary artery bypass grafting via small thoracotomy versus sternotomy (MIST): an investigator-initiated, international, open-label, randomised controlled trial
背景
多枝冠動脈疾患に対するCABGにおいて、胸骨正中切開は侵襲が大きく術後回復の遅れが課題である。
カナダUniversity of OttawaのRuelら(MIST)は、カナダ・インド・中国・ドイツ・アメリカ・日本の7施設で、多枝冠動脈疾患患者170名を対象に、小開胸による低侵襲CABG(MICS CABG)と胸骨正中切開CABGの術後回復と安全性をRCTで検証した。
一次アウトカムは、術後1ヵ月時点の患者報告による身体機能回復であり、36-item Short Form Health Survey Physical Component Summary(SF-36 PCS)スコアで評価した。
結論
一次アウトカムはMICS CABGの一次アウトカム優位を認めた:45.1点 vs. 42.2点。12ヵ月までの追跡では死亡および脳卒中は両群とも認められず、主要心・脳血管イベントはMICS CABG群で1名、胸骨正中切開群で0名で、安全性に差は認められなかった。
評価
多枝CABGに対するMICS CABGと胸骨正中切開CABGを比較した初の国際・多施設RCTで、患者報告アウトカムで低侵襲手術の優位性を示した。一方、同手法は心臓血管外科中最高難度の術式の一つとみられており、試験は経験豊富な高度施設で行われた。オープンラベルで患者数も170名と多くなく、死亡や脳卒中など稀な臨床イベントを評価する十分な検出力はない。長期予後や普及可能性について追加検証が必要である。


