多枝冠動脈疾患患者ではDAPTを12ヵ月以上延長?:DAPT-MVD試験
Extended Dual Antiplatelet Therapy for Multivessel Coronary Artery Disease

カテゴリー
循環器、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
July 2026
395
開始ページ
233

背景

多枝冠動脈疾患(MVD)患者は、薬剤溶出性ステント(DES)留置後に12ヵ月間の二重抗血小板療法(DAPT)を行うのが一般的だが、イベントのない患者でDAPTを12ヵ月を超えて延長する利点は。
中国Harbin Medical UniversityのYuら(DAPT-MVD)は、DES留置後12ヵ月間イベントがなかった18〜75歳のMVD患者8,250名を対象に、さらに12ヵ月間のDAPT(クロピドグレル+アスピリン)継続とアスピリン単剤療法を比較する非盲検化RCTを行った。
一次有効性エンドポイントは、心血管死・非致死性心筋梗塞・非致死性脳卒中の複合で、安全性エンドポイントは、臨床的に関連のある出血または大出血であった。

結論

中央値34.3ヵ月の追跡で、DAPT延長の一次有効性エンドポイント優越性を認めた:5.8% vs. 6.8%(HR: 0.82)。一次安全性エンドポイントに群間有意差はなかった。

評価

MVD患者のみを対象として、ステント留置後1年以上の長期DAPT(抗血小板薬2剤併用療法)の有効性と安全性を検証した大規模RCTは、初めてである。心筋梗塞抑制効果(32%減)の多くが非標的病変で生じていた点は、DAPTによる多枝動脈硬化プラークの安定化作用を示唆しており、臨床実践において治療指針の個別化を促すインパクトを持つ。対象が東アジア(中国)人特有の遺伝的背景(CYP2C19機能喪失アレル高頻度)を持つ集団に限定されている点や、クロピドグレル以外のより強力なP2Y12阻害薬との比較がなされていない点が限界であり、世界でのガイドライン化にはさらなる検証が必要である。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(循環器)

Journal of the American College of Cardiology(JACC)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、American Heart Journal (AHJ)、Circulation、The Journal of the American Medical Association(JAMA)