アンビエントAIは救急外来での記録作成で人間の医療秘書を置き換えうるか
Ambient Artificial Intelligence Versus Human Scribes in the Emergency Department

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Annals of Emergency Medicine
年月
May 2026
87
開始ページ
561

背景

アンビエントAI(ambient AI)は、周囲の状況を継続的にモニターし理解することで、テキスト・プロンプトなど明示的なキューを待たずユーザーに支援を提供する人工知能の総称である。アレクサなどの音声アシスタント・スマートホームは一般でも利用されたが、近年では生成AIやマルチモーダルAIの登場により文脈理解度が大幅に向上し、医療分野でも応用が検討されている。
アメリカMayo ClinicのMoreyらは、2024年12月から翌年1月にかけてアンビエントAIを早期導入した同施設の救急外来において、5名の救急医にシフトごとに人間の医療秘書(クラーク)またはAIによる医療記録作成を割り付け、独立した2名の医師によってその性能を評価し、カルテ作成の所要時間および医療記録の貢献度と合わせて比較を行った。

結論

計710件の受診があり、AIによる記録に426件、人間による記録に284件が割り付けられた。
医療記録としての品質(Physician Documentation Quality Instrument [PDQI-9])は、成人患者では有意差はなかったが(38.22 vs. 40.59)、小児患者ではAIによる記録でスコアが低かった(40.36 vs. 42.25)。
電子カルテの記入に費やされた時間はAIによる記録を使用した場合でより長くなった(成人では1人あたり4.3分 vs. 1.8分; 小児では3.5分 vs. 1.6分)。また、カルテの総文字数は、AIと人間の場合で同程度であったが、AIによる記録に基づくカルテ記入では最終的なカルテでの医師の貢献度が高くなった。

評価

医師による自己記入とアンビエントAIを比較した研究とともにAEM誌に併載された(https://doi.org/10.1016/j.annemergmed.2025.12.017)。
参加した医師が5人という小規模なパイロット研究であるが、救急外来においてAIによる医療記録作成が可能であることを実証した。ただし、カルテ記入の所要時間、医師による記入・修正の必要性はAI記録で増しており、現時点では人間と同等の品質に達しているとは言えない。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)