多がん種早期検出(MCED)検査に落とし穴 リソース逼迫でがん診断に遅れか
Cancer Diagnostic Delay Rates Associated With a Population-Based Screening Trial Evaluating a Cell-Free DNA Multicancer Early Detection Test
背景
多がん種早期検出(MCED)検査は、血液ベースで多数のがん種を網羅的にスクリーニングする検査であり、従来の臓器別検診より対象を大幅に広げることが期待されているが、その一方でMCED検査の大規模な採用が医療リソースの逼迫を引き起こす可能性が報告されている。
アメリカRANDのMannらは、イングランド21の地域において、cfDNAベースのMCED検査による集団ベース検診を検証する臨床試験、NHS-Galleri試験への地域参加(8地域)が、頭頸部がん・肺がん・上部消化器がんの診断遅延率(紹介から確定診断までに28日以上を要した患者の割合)に影響するかを、差分の差分法を用いて評価した。
結論
全21地域で、頭頸部がん・肺がん・上部消化器がん疑いによる患者紹介が1,875,236件記録された。
試験参加地域では集団ベース検診の試験開始からの6ヵ月間で、診断遅延率が28.6%から29.6%へと上昇し、対して非参加地域では28.9%から26.3%へと減少した。差分の差分法での調整推定値は3.4パーセントポイントであった。この差は次の6ヵ月でも持続したが(4.8パーセントポイント)、その後は統計的に有意ではなくなった。
試験参加地域では頭頸部がん・肺がん・上部消化器がん疑いによる紹介率も、最初の6ヵ月間上昇した。
評価
NHS-Galleri試験の開始以降、MCED導入地域でがん診断の遅延が生じたことを明らかにした。
Galleri検査の偽陽性率は低いとされるが、人口規模で実施すれば既存の診断リソースへの大きな追加需要が発生し、もともと逼迫している医療システムには重大な波及効果を及ぼす可能性がある。MCEDの導入に際しては考慮すべき論点となるだろう。


