小児敗血症の患者数・死亡数を新基準Phoenix criteriaに基づき推定:アメリカ
National Estimates of Pediatric Sepsis in US Hospitals Using Clinical Data
背景
Phoenix criteriaは2024年に提案された、全身炎症反応症候群に基づかない新たな小児敗血症の基準であり、呼吸器系・循環器系・凝固系・神経系のポイントを合計することで従来よりも高い精度で敗血症・敗血症性ショックを診断することが可能とされる(https://doi.org/10.1001/jama.2024.0196)。
アメリカHarvard Pilgrim Health Care InstituteのRheeらは、Phoenix criteriaを電子健康記録データで利用な形に改変したPediatric Sepsis Event(PSE)を定義として用いて、アメリカにおける敗血症の疾病負荷を推定する後向コホート研究を実施した。
研究では、二つの電子健康記録データセット(Epic Cosmos, HCA Healthcare)における、日齢30日以降17歳未満の入院患者(n=3,926,809)のデータが使用され、敗血症罹患率・特徴・院内死亡率とその経時的変化が推定された。
結論
51,542件の敗血症症例が特定された(罹患率1.3%)。患児の平均年齢は6.6歳、44.3%が女児であった。うち72.6%は市中発症敗血症であり、61.6%は敗血症性ショックであった。院内死亡率は10.1%で、死亡に至った入院のうち17.8%が敗血症を呈した。
カルテレビューにおいて、PSE定義は感度69.9%、特異度93.1%であり、疾病分類コードよりも高い感度で同等の特異度を示した。
敗血症の全国症例数は2022年で18,231名、死亡者数は1,877名と推定され、症例数・死亡者数とも、2016年から有意な変化はみられなかった。
評価
EHRデータベースを用いた疫学推定自体は目新しいものではないが、本研究はPhoenix criteriaを改変したPSE定義を用いることで、アメリカにおける小児敗血症の罹患・死亡数に最新の推定を提供した。
院内死亡小児の約5人に1人で敗血症が関与している換算であり、改めて疾病負荷の大きさを印象付けるデータである。


