敗血症性ショックでの早期昇圧剤投与は死亡率に影響しない:ARISE FLUIDS試験
Vasopressors or Fluids in Early Septic Shock
背景
敗血症の初期蘇生における昇圧薬の適切な投与タイミングは不明である。観察研究からは昇圧薬を輸液に先行させることで輸液量が抑制されるだけでなく、死亡率を低下させる可能性も示唆されているが、2022年のCLASSIC試験、2023年のCLOVERS試験では早期昇圧薬のベネフィットは認められなかった。
オーストラリアMonash University, MelbourneのPeakeらは、オーストラリア・ニュージーランド・アイルランドの51施設で、救急外来を受診した敗血症性ショック患者を、制限的輸液と早期昇圧薬投与を行うグループまたは非制限的輸液と遅延昇圧薬投与を行うグループへと割り付け、90日目までの生存退院後日数を比較する医師主導国際共同ランダム化試験(ARISE FLUIDS試験)を実施した(n=1,000)。
結論
ランダム化後24時間の輸液量は、早期昇圧薬群で有意に減少した(中央値差 −1108 ml)。また、昇圧薬投与を受けた患者の割合は早期昇圧薬群で18.9パーセントポイント高かった。
90日目までの生存退院日数(中央値)は、早期昇圧薬群・遅延昇圧薬群とも76日であった。
有害事象の発生は両群で類似していたものの、肺水腫は早期昇圧薬群で減少した(0.6% vs. 5.0%)。
評価
大規模RCTに限っても3件目となる検証であり、早期昇圧薬投与は輸液量を抑制した一方で、死亡率にはやはり差がなかった。
早期昇圧薬により輸液を削減する戦略は安全で、現場レベルで選ばれる場面は増えるだろうが、アウトカムを改善する戦略とは言えない。


