重症熱傷患者での大量ビタミンC療法は有害:VICTORY試験
High-Dose Intravenous Vitamin C and Mortality and Organ Dysfunction in Severe Burn Injury: The VICTORY Randomized Clinical Trial
背景
ビタミンCは抗酸化作用、血管作動薬反応性の補助、内皮バリア機能の保護といった機序を通じて重症疾患患者に有益に働く可能性があり、これまでさまざまな重症疾患を対象に高用量ビタミンC療法の臨床試験が行われている。熱傷患者においてもフリーラジカルによる病態生理学的カスケードを阻害することが期待されていた。
ドイツUniversity Hospital WürzburgのStoppeら(VICTORY)は、北米・中米・南米・ヨーロッパ・アジアの熱傷治療センター24施設で、重症熱傷の成人患者を対象に、ビタミンC(50 mg/kg/6 hを96時間)またはプラセボの静注を割り付け、28日以内の死亡・持続性臓器不全(複合エンドポイント)への効果を検証する第3相RCTを実施した。
結論
最初の事前指定中間解析において無益性・有害性の閾値を超えたため、238名が登録されたのち、試験は早期終了した。
一次複合アウトカムはビタミンC群の40.8%、プラセボ群の29.7%に発生した(リスク比 1.28)。
生存退院までの期間も改善しなかった(層別化ハザード比 0.85)。28日死亡率はビタミンC群15.0%、プラセボ群7.6%(リスク比 1.96)、院内死亡率はビタミンC群23.3%、プラセボ群16.1%と(リスク比 1.44)、いずれもビタミンC群で有意に悪化した。
評価
国際的ガイドラインの中には熱傷患者での高用量ビタミンC療法を示唆するものがあったが、本試験では死亡率の悪化を含む有害性シグナルにより早期終了となった。
大量ビタミンC仮説は、生理学的なもっともらしさ、安全性、安価さ等を背景に長らく検討されてきたが、最近では敗血症性ショックを対象としたLOVIT試験(https://www.doi.org/10.1056/NEJMoa2200644)、COVID-19・市中肺炎を対象としたLOVIT-COVID・REMAP-CAP試験(https://doi.org/10.1001/jama.2023.21407)でも有害性が示唆され、安全性という前提は大きく揺らいでいる。今後の検証には従来より高いハードルが求められる。


