複雑高リスクPCIにおけるIVUSガイドの有益性を否定:IVUS-CHIP試験
Intravascular Ultrasound-Guided or Angiography-Guided Complex High-Risk PCI
背景
複雑冠動脈病変に対するPCIにおける血管内超音波(IVUS)の使用は、欧米諸国では未だ一般的でない。
オランダErasmus University Medical CenterのDilettiら(IVUS-CHIP)は、高齢・高度病変患者2,020名を対象に、事前規定したステント最適化基準に基づくルーチンのIVUSガイドPCIを、従来の血管造影ガイドPCIと比較するRCTを行った。
一次アウトカムは、標的血管不全(心臓死・標的血管心筋梗塞・標的血管再血行再建の複合)であった。
結論
中央値19.0ヵ月の追跡において、IVUSのルーチン使用の有意なリスク低減効果は示されなかった(HR: 1.25)。
評価
IVUSルーチン使用の方向性をめざしてきたインターベンションカージオロジー界に冷や水を浴びせる衝撃的な結果である。特に、アジア主導の先行研究(RENOVATE-COMPLEX-PCIなど)と異なり、IVUSの価値が高まるとして選択された高齢・高度病変患者対象試験での無益結果であることは大きい。
IVUS所見が40.5%の手術において後拡張等の追加措置を誘発し、最大ステント径の拡大(3.50mm vs. 3.38mm)をもたらした点や、全体的な治療水準の向上が血管造影単独群の成績を底上げした可能性、さらにステント血栓症のリスク抑制における画像診断の機序的な有用性が関与している、等の議論がある。この手法に対する根本的見直しを迫る結果である。


