Pan-RAS阻害薬Daraxonrasib、第3相で膵がんの生存期間を倍増:RASolute 302試験
Daraxonrasib or Chemotherapy in Previously Treated Metastatic Pancreatic Cancer
背景
Daraxonrasibは、GTP結合型(活性型)RASとシクロフィリンA、薬剤が三者複合体を作ることで下流へのシグナルを阻害するという新機軸の経口RAS(ON)広域阻害薬であり、第1-2相RMC-6236-001試験において有望な抗腫瘍活性を示し(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2505783)、第3相試験での検証が進められていた。
アメリカMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのO'Reillyら(RASolute 302)は、世界6ヵ国59施設の、治療歴を有する遠隔転移を伴う膵管腺がん患者(n=500)に対し、daraxonrasibまたは主治医選択化学療法を割り付け、RAS G12変異を有する患者集団における全生存期間・無増悪生存期間を比較する第3相RCTを実施した。
結論
患者全体の91.8%がRAS G12変異を有した。
RAS G12変異集団における全生存期間(中央値)は、daraxonrasib群で13.2ヵ月、化学療法群で6.6ヵ月であった(ハザード比 0.40)。
RAS G12変異集団における無増悪生存期間(中央値)は、daraxonrasib群で7.3ヵ月、化学療法群で3.5ヵ月であった(ハザード比 0.49)。
Daraxonrasib群の100%、化学療法群の97.7%で治療開始後に有害事象が発現し、グレード3以上の有害事象発生率はそれぞれ61.8%、69.6%であった。治療中止に至る治療関連有害事象は、daraxonrasib群の1.2%、化学療法群の11.2%で発生した。
評価
日本も参加するこの国際第3相試験で、遠隔転移を伴う膵がんの二次治療において死亡リスク6割減、生存期間倍増という劇的な効果を実証し、ASCO 2026ではスタンディングオベーションで迎えられた。化学療法と比べて毒性も軽減しており、新たな標準治療となるだろう。
一次治療への拡大では、単剤使用と化学療法への上乗せを三群で同時比較するRASolute 303試験(NCT07491445)が、早期ステージとしては、術後補助療法での使用を検証するRASolute 304試験(NCT07252232)が進行中であり、この予後不良疾患をどこまでcurableに近づけるか今後も注目である。


