iPS細胞由来心筋組織移植(BioVAT)は難治性心不全治療に有望?
Stem-Cell-Derived Biologic Ventricular Assist Tissue in Heart Failure
背景
心不全治療へのiPS細胞の利用に様々なアプローチが試みられている。
ドイツUniversity Medical Center GöttingenのZimmermannら(BioVAT-HF Investigators)は、同種iPSC由来心筋細胞・間質細胞から構築した生物学的心室補助組織(BioVAT: Biologic ventricular assist tissue)の心外膜移植の安全性および心筋再構築への有効性を検証するため、同国2施設で非盲検第1/2相試験を実施した。
結論
20名の患者が登録され、最大量(20ユニット)の移植を受けた。3ヵ月時点で解析を完了した12名において、標的壁厚は4.5 mm、左室駆出率(LVEF)は3.9ポイント、生活の質(KCCQ-OSS)は6.7ポイントそれぞれベースラインから増加した。一方、登録された20名全員に何らかの有害事象が認められ、うち3名が死亡(血管麻痺・COVID-19・A型大動脈解離)し、1名が心移植へ移行した。
評価
現在の最前線分野で、阪大・クオリプスのより低侵襲で実用的な「心筋シート」アプローチに対し、このドイツバーションは、人工心臓の牙城を崩すため、3D同期心筋パッチという「ミニ移植」アプローチを採っている。この報告は、ヒト心筋の再構築(remuscularization)を明確に示した発端研究ともなっており、iPSCを用いた心不全治療における心筋シートの手強いライバルとなった。有害事象が多いにもかかわらず、第3相へ進むことはほぼ確実で、阪大・クオリプスと慶応・ハートシード(スフェロイド)と世界的第3相試験で競合することになる。


