Pan-RAS阻害薬daraxonrasibが登場、膵がんでの抗腫瘍活性を示す:第1-2相RMC-6236-001試験
Daraxonrasib in Previously Treated Advanced RAS-Mutated Pancreatic Cancer

カテゴリー
がん、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
May 2026
394
開始ページ
1790

背景

膵管腺がん(PDAC)ではKRAS遺伝子変異が広範にみられるが、KRAS阻害薬は長年創薬が困難と考えられてきた。近年、KRAS G12C変異を標的としたソトラシブがKRAS直接阻害の概念を実証したが、PDACにおけるG12C変異はごく少数であり膵がん診療へのインパクトは限定的であった。
アメリカDana-Farber Cancer InstituteのWolpinらは、治療歴のあるRAS変異PDAS患者を対象に、GTP結合型RASと野生型RASを標的とする経口RAS(ON)広域阻害薬、daraxonrasib(RMC-6236)の安全性(一次エンドポイント)、薬物動態、抗腫瘍活性を評価する第1/2相試験を行った。

結論

300 mg以下の用量で治療を受けた168名のうち、治療関連有害事象は96%、グレード3以上の治療関連有害事象は30%に報告された。頻度の高いものとして発疹、下痢、悪心、口内炎/粘膜炎、嘔吐、倦怠感があった。
RAS G12変異患者に対する用量300 mgでのセカンドライン投与(n=26)では、35%に客観的奏効が認められ、奏効持続期間は8.2ヵ月、無増悪生存期間は8.5ヵ月、全生存期間は13.1ヵ月であった(いずれも中央値)。
RAS G12/G13/Q61変異患者(n=38)では、29%に客観的奏効が認められ、奏効持続期間は8.2ヵ月、無増悪生存期間は8.1ヵ月、全生存期間は15.6ヵ月であった。

評価

Daraxonrasibは、G12C阻害薬に多いGDP結合型の不活性KRASに結合するタイプとは異なり、GTP結合型の活性化RASとシクロフィリンA、薬剤が三者複合体を作ることで下流へのシグナルを阻害するという新機軸の阻害薬であり、本試験ではセカンドライン以降のPDAC患者の1/3に抗腫瘍活性をもたらしうることを実証した。
同薬の開発元はすでに第3相RASolute 302試験でのポジティブ結果を公表しており、G12D変異標的タンパク質分解薬setidegrasibの有望結果とも併せて(https://doi.org/10.1056/NEJMoa2600752)、RAS標的化が膵がんの治療体系に加わる日も近いとみられる。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)