エボロクマブは糖尿病合併・既往歴なしの高リスク患者の一次予防にも使える:VESALIUS-CVサブ解析
Evolocumab to Reduce First Major Cardiovascular Events in Patients Without Known Significant Atherosclerosis and With Diabetes: Results From the VESALIUSCV Trial
背景
PCSK9阻害薬による強力なLDL-C低下療法は、これまで主に心筋梗塞や脳卒中の既往がある二次予防患者を対象としてきたが、明らかな動脈硬化性疾患(ASCVD)の診断はないものの、糖尿病(DM)などの合併により将来のイベントリスクが高い一次予防における有効性は。
アメリカBrigham and Women’s HospitalのMarstoらは、VESALIUS-CV試験における、DM合併かつ明らかなASCVD所見のない3,655名を対象にこれを解析した。
一次エンドポイントは、冠動脈疾患死・心筋梗塞・虚血性脳卒中の複合エンドポイント(3-P MACE)と、3-P MACEに虚血性動脈血行再建術を加えた複合(4-P MACE)であった。
結論
エボロクマブの一次エンドポイント効果を認めた:3-P MACEイベント発生リスク31%減。5年時点の推定イベント発生率は、3-P MACEで5.0% vs. 7.1%、4-P MACEで7.6% vs. 10.5%であった。治療開始48週後のLDL-C中央値は52 mg/dL(プラセボ群は111 mg/dL)まで低下した。
評価
高リスク患者における心血管イベントの二次予防をテーマとしたVESALIUS-CVのサブ解析により、「一次予防はスタチンで十分」というパラダイムを変え、エボロクマブの適応を高リスク患者の一次予防にまで拡張する結論を導いた。特に、この試験では投与1年後から曲線が大きく乖離し始める傾向が確認されており、動脈硬化が顕在化する前の早期介入が長期的な保護作用をもたらす可能性を示唆した。適応拡大の承認は確実だが、高額な注射薬であり、LDL-C低下目標値の設定等の微調整が必要となる。


