経食道心エコーで正確な胸骨圧迫が可能になるか?:EXECT-CPR study
Transesophageal Echocardiography During CPR in Patients With Out-of-Hospital Cardiac Arrest: The EXECT-CPR Randomized Clinical Trial
背景
心肺蘇生(CPR)における経食道心エコー(transesophageal echocardiography; TEE)は、可逆的原因の検索や心収縮の確認を目的に、経胸壁心エコーと比較して胸骨圧迫の中断が少ない補助診断として検討されてきたが、近年では、圧迫中のTEEでの可視化により、大動脈弁の圧迫を避け、正確に左室を圧迫できる可能性も示唆されている。
台湾Far Eastern Memorial HospitalのChuら(EXECT-CPR study)は、TEEガイドを用いた、大動脈弁圧迫を回避した左室ターゲットの圧迫により心停止患者の予後が改善するかを検討するため、同施設に搬送された非外傷性院外心停止患者を、2週ごとにTEEガイド下CPRまたは従来CPRへと割り付け、20分以上持続する自己心拍再開(ROSC)率を比較するクラスターRCTを実施した(n=132)。
結論
持続的ROSC率は、TEEガイド下CPR群で43.9%、従来CPR群で39.4%と差がなかった(クラスター調整オッズ比 1.21)。
生存ICU入室率は両群とも30.3%であり、修正ランキンスケール0-2での退院はともに0%であった。その他、TEEガイド下CPR群で到着後11〜20分の呼気終末二酸化炭素濃度が高値であった以外、有意な差は認められなかった。
評価
CPR中のTEEの有無で割り付けを行った初のRCTエビデンスとみられる。TEE観察による圧迫位置の把握はROSC率の有意な改善にはつながらなかった。
ただ、ROSC率の点推定の差、さらにEtCO2上昇というシグナルはあり、追加的な検証の余地は残されている。


