高齢者で大腸内視鏡検診を行う意義は?
Colorectal Cancer and Mortality Risk Among Older Adults With vs Without Adenoma on Prior Colonoscopy
背景
大腸内視鏡検診は高齢になるほどベネフィットが小さくなるため、アメリカのガイドラインは76歳以降での継続実施を個別の選択に委ねている。一方、adenoma歴のある個人は平均よりも大腸がんリスクが高いと考えられ、サーベイランス継続の判断は単純ではない。
アメリカVA San Diego Healthcare SystemのGuptaらは、アメリカ退役軍人省において、2006年から2019年に75歳未満で大腸内視鏡検査を受けた高齢者(n=91,952)を対象とした後向コホート研究を実施し、過去の大腸内視鏡検査におけるadenoma検出が大腸がん発症・大腸がん死亡・全原因死亡リスクにもたらす影響を評価した。
結論
対象となった高齢者のうち、27.8%にはadenoma歴があった。
10年間の追跡期間中の累積大腸がん発症率は、adenoma群で1.1%、非adenoma群で0.7%であり、累積大腸がん死亡率はそれぞれ0.5%、0.4%であった。
これに対して大腸がん以外の死因による累積死亡率は46.9%から48.4%の範囲であった。Adenoma群での大腸がん以外の死因による死亡率は、大腸がん死亡率よりも大幅に高く、フレイルのない個人でも34.2%、重症フレイル患者では82.0%に上った。
評価
Adenoma歴を有する高齢者において大腸がん死亡リスクの上昇幅はサーベイランスの継続を正当化するほど大きいのか、という問題に焦点を当てた研究で、大腸がん以外の死因による死亡リスクと比べると、大腸がん死亡リスクが非常に小さいことを明らかにした。
サーベイランスを自動的に継続するのではなく、adenomaのがん化リスク、その他の競合リスク、患者の選好を総合的に勘案すべきことを強調するデータといえよう。


