iPadゲームで救急医の外傷トリアージ能力を向上させる
Using Serious Games to Increase the Implementation of Trauma Triage Guidelines: A Randomized Clinical Trial
背景
外傷におけるトリアージは、時間制約の上にさまざまな判断要素と閾値が絡む複雑なタスクであり、各種の努力にもかかわらず、ガイドラインの遵守率は低迷している。
アメリカniversity of Pittsburgh School of MedicineのMohanらは、タブレット端末でプレイできる目的指向型ビデオゲーム(Night Shift 2024)によるトレーニングが、高齢患者における外傷トリアージガイドラインの遵守率を高めるかを検証するランダム化臨床試験を実施した。
対象は、アメリカ国内の非外傷センターの救急外来でトリアージを担当する救急医(n=800)で、初回2時間、その後四半期ごとに20分、計4回のゲームプレイを行う介入群と、通常の教育のみを受ける対照群へと割り付けられた。一次アウトカムはランダム化後1年間のアンダートリアージ(外傷センターに搬送されなかった重症患者の割合)とし、二次アウトカムとしてオーバートリアージ(外傷センターに搬送された軽症患者の割合)および30日複合アウトカムが用いられた。
結論
介入群の医師は、99%が1回の、67%が4回のトレーニングを完了した。
介入群の医師では、対照群と比して重症高齢患者のアンダートリアージ率が低かった(49% vs. 57%; モデル調整済み群間差−7%)。
オーバートリアージ(調整済み群間差−3%)、死亡・再入院(−0.4%)に有意な差は認められなかった。
評価
本研究の『Night Shift 2024』は、iPad上でプレイできる、二重過程モデルと行動変容テクニックに基づいてデザインされたアドベンチャーゲームである。プレイヤーは若い地域病院の救急医(Andy Jordan)となって失踪した祖父を探す傍ら病院で様々な患者を診療するほか、メインストーリーのクリア後にはトリアージに特化したミニゲームも用意されている(https://howdodoctorsthink.study.ccm.pitt.edu/Support/Faqs)。
2017年のBMJ誌論文(https://doi.org/10.1136/bmj.j5416)をはじめ同ゲームの開発過程は詳しく論文化されているが、本RCTは実臨床においてアンダートリアージを改善しうることを実証した点でインパクトが大きい。


