血液培養ボトルから直接感受性検査を実施してもアウトカムは改善しない:FAST試験
Fast Antimicrobial Susceptibility Testing for Gram-Negative Bacteremia: The FAST Randomized Clinical Trial
背景
グラム陰性桿菌による血流感染症(BSI)は、抗菌薬耐性が蔓延している国・地域では疾患・死亡の重要な原因となっている。薬剤感受性試験(AST)の結果を迅速に得ることで、適切な治療をより早い段階で実施できる可能性があるが、アウトカムを改善しうるかは明らかではない。
アメリカVanderbilt University Medical CenterのBanerjeeらは、耐性菌率の高いギリシア、インド、イスラエル、スペインの7ヵ所の医療施設で、血液培養でグラム陰性桿菌陽性となった血流感染症の入院患者を、陽性となったボトルから直接ASTを行うグループ、または標準的なASTを行うグループへと割り付け、30日時点でのアウトカムを比較する多国籍ランダム化臨床試験、FAST試験を実施した(n=899)。
一次アウトカムのDOOR(desirability of outcome ranking)は、病的イベントのない生存、病的イベントを有する生存、死亡の3つのカテゴリーを望ましい順に並べ、両グループを比較する手法である。
結論
迅速検査群でDOORが良好となる確率は48.8%であった。
有効な抗菌薬が投与されるまでの時間(中央値)に群間差は認められなかった。抗菌薬のエスカレーション、デエスカレーションまでの時間(中央値)は、迅速検査群で14時間短縮した。その他の二次アウトカムに群間差は認められなかった。
カルバペネム耐性患者(事前指定サブグループ)における有効な抗菌薬が投与されるまでの時間(中央値)は、迅速検査群9.5時間、標準検査群28時間と、迅速検査群で短縮した。
評価
RAPIDS-GN試験(https://doi.org/10.1093/cid/ciaa528)をはじめ、すでに複数のRCTが行われているが、患者アウトカムの改善については一貫していなかった。本試験でも、迅速なAST実施により治療変更までの時間は短縮されたものの、全体の患者アウトカムの改善にはつながらなかった。
迅速なASTの効果は、耐性菌リスク、検査パネルとの一致割合、検査結果を即時に治療変更へつなぐ施設体制に依存すると考えられる。


