がん治療バイオシミラーへの置き換えが病院マージンを拡大:アメリカ
Hospital Adoption and Pricing for Oncology Biosimilars
背景
バイオシミラー(バイオ後続品)は、低分子薬におけるジェネリックに相当する生物学的医薬品であり、特許が切れた先行バイオ医薬品と同等の品質・安全性・有効性が証明された製品である。がん領域でもベバシズマブ、トラスツズマブ、リツキシマブのバイオシミラーが承認されており、置き換えが進んでいる。
アメリカUniversity of California, BerkeleyのRobinsonらは、健康保険Blue Cross Blue Shieldの加入者のデータを用い、2020年から2024年のアメリカにおけるがん治療用バイオシミラーの購入価格、償還価格、普及状況の変化を調査した。
結論
1,541施設、66,139名の患者が対象となった。
病院が製薬会社に支払う購入価格は、ベバシズマブで60%、トラスツズマブで72%、リツキシマブで63%減少した。一方、保険会社が病院に支払う償還価格はそれぞれ32%、36%、34%の穏やかな低下に留まり、病院のマージン増加につながった。
多変量回帰分析では、1ドルの購入額上昇ごとに、償還額はベバシズマブで2.72ドル、トラスツズマブで1.82ドル、リツキシマブで2.32ドル上昇し。病院のマージンは、バイオシミラーの普及拡大とともに上昇した。ベバシズマブ、トラスツズマブ、リツキシマブの使用率は、2020年の32%、37%、18%から、2024年には93%、87%、84%に上昇した。
評価
アメリカでのこの調査では、がん領域のバイオシミラー普及が、購入価格と償還価格の乖離による病院マージンの拡大によって促進された可能性を示唆した。
日本とは大きく異なる制度のもとでの結果ではあるが、バイオシミラー導入による節約分が誰に帰属するかという論点は、医療費適正化問題を考えるうえで重要である。


