外傷患者での病院前気管挿管 高リスク患者でのベネフィット示唆
Survival effect of prehospital emergency anaesthesia with intubation in risk-stratified patients with major trauma: a causal modelling study
背景
重症外傷患者における最適な挿管のタイミングはいつか。外傷患者を対象とした病院前挿管のランダム化比較試験は少なく、外傷性脳損傷患者では有益性が示唆されているものの、病院前挿管を有害とするメタアナリシスもあり、結論は出ていない。
イギリスUniversity College LondonのNelsonらは、2012年から2017年まで(n=3,882)、および2019年から2019年まで(n=2,585)に同国の外傷センターに搬送された患者の病院前臨床特徴を分析する因果モデリング研究を行い、機械学習を用いて病院前での気管挿管が生存率に与える因果効果を推定した。
結論
早期の病院前データに基づき、早期気管挿管と30日死亡率は高精度で予測可能であった(曲線下面積 0.943, 0.867)。早期挿管が予測されたにもかかわらず、病院前挿管を受けたなかった患者では、早期挿管が予測されなかった患者と比較して生存率が有意に低かった(66.8% vs. 93.6%)。
病院前挿管の条件付き治療効果は−0.103、すなわち30日死亡率の10.3%の低下に相当した。この方針のもとではイギリス全土で年間170名の死亡が予防可能であり、費用対効果は1億100万ポンドであった。
評価
機械学習モデルにおいて早期挿管が予測された患者では、挿管が行われなかった場合、死亡率が高く、これらの患者では病院前挿管を行うことで、死亡率が10%程度改善する可能性が認められた。
Intub-8と名付けられたこのモデルは、病院前挿管の利益が見込まれる患者の選別に資する可能性があるが、実装には外部検証が必要である。


