心血管疾患一次予防にポリピル(+アスピリン)?:TIPS-3
Polypill with or without Aspirin in Persons without Cardiovascular Disease
背景
特に途上国民・先進国貧困層民には、スタチン・降圧薬・アスピリンのポリピルが有益な心血管公衆衛生戦略になる可能性がある。カナダMcMaster UniversityのYusufら(TIPS-3)は、5,713名のINTERHEARTリスクスコア低値の参加者を対象として、2×2×2の因子比較試験を行った。因子は、ポリピル(シンバスタチン40mg・アテノロール100mg・ヒドロクロロチアジド25mg・ラミプリル10mg)/プラセボ、アスピリン75mg/プラセボ、ビタミンD/プラセボ(無報告)である。ポリピルのみとプラセボ、ポリピル+アスピリンとダブルプラセボを比較する一次アウトカムは、心血管因死・心筋硬塞・脳梗塞・心停止蘇生・心不全・血管再建術施行、アスピリンをプラセボと比較する一次アウトカムは、心血管因死・心筋硬塞・脳梗塞である。
結論
平均フォローアップ期間4.6年で、ポリピル単独の一次アウトカム効果を認めた(HR:0.79)。アスピリン単独にも一次アウトカム効果があり(HR:0.86)、両者併用にも効果を認めた(HR:0.69)。低血圧症やめまいの発生は、プラセボ群よりポリピル群に多かった。
評価
長く議論されている重要テーマで、今まで最大規模の本格検証である。アメリカでは貧困層用に採用、という動きがあるが(https://www.nejm.org/doi/10.1056/NEJMoa1815359)、概念に合意された後でも併用薬の選択と用量には議論が多く、ここでの結果に対してもAHAでは選択・用量に多様な意見が出たようである(https://www.tctmd.com/news/one-pill-treat-them-all-polycap-strategy-sees-success-tips-3)。