下部消化管出血のリスクスコアは処遇決定に有用か
Predictive value of clinical risk scores for adverse outcomes and safe discharge in acute lower gastrointestinal bleeding
背景
救急における下部消化管出血(LGIB)の重症度には大きな幅があり、ショックを呈する患者は稀で大半は治療介入なしに自然治癒する一方、無視できない割合が入院・輸血を要する。重篤なLGIB患者を特定するため、これまで複数の臨床リスクスコアが開発されてきた。
トルコKırıkkale University Faculty of Medicineのİlhanらは、2017年から2022年までに大学病院の救急外来で急性LGIBの最終診断を受けた成人患者(n=2051)を対象とした後向コホート研究を実施し、LGIBの有害アウトカム(院内死亡、重度の出血、輸血の必要性、治療介入)および安全な退院に関する臨床予測ツールの予測能力を評価した。比較対象となったのはCHAMPSスコア、NOBLADSスコア、Oaklandスコア、Severe Acute Lower GI Bleeding(SALGIB)スコア、Strateスコアの五つのスコアであった。
結論
有害アウトカムは38.6%の患者に発生し、29.8%で重度の出血が発生した。36.7%が輸血を、3.3%が治療介入を要した。
Oaklandスコアは、有害事象(AUC, 0.902)、重度の出血(0.925)、安全な退院(0.889)の全てについて最も高い予測性能を示し、SALGIBが続いた(それぞれ0.880, 0.901, 0.867)。
その他のスコアは3つのアウトカムについて中程度のパフォーマンスを示した。
評価
大規模な単施設コホートにおいて主要なリスクスコアを比較し、Oaklandスコアに加えてSALGIBスコアが高いパフォーマンスを持つことを明らかにした。
LGIB患者のdispositionにおいて有用とみられるが、治療介入の必要性に関する予測パフォーマンスはいずれも限定的であり、過信は禁物だろう。


