中リスクの肺塞栓症にカテーテル血栓溶解療法が有効:HI-PEITHO試験
Ultrasound-Facilitated, Catheter-Directed Fibrinolysis for Acute Pulmonary Embolism

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
March 2026
Online first
開始ページ
Online first

背景

血行動態の安定した中等度リスクの急性肺塞栓症における最適な治療は何か? 2014年に発表されたPEITHO試験は、右心機能不全の肺塞栓症患者において血栓溶解療法により循環動態悪化が減少することを示した一方で、出血性合併症の増加があり有効性が相殺される結果となった。
アメリカMassachusetts General HospitalのRosenfieldら(HI-PEITHO)は、中リスクの肺塞栓症患者で、収縮期血圧・心拍数・呼吸数のうち2つで心肺不全の基準を満たした患者を対象に、アルテプラーゼによる超音波ガイド下カテーテル誘導血栓溶解療法と抗凝固療法(介入群)、または抗凝固療法のみ(対照群)を割り付け、7日以内の複合エンドポイント(肺塞栓症関連死亡・心肺代償不全/虚脱・症候性再発)の発生を比較する、適応型デザインによる多国籍RCTを実施した(n=544)。

結論

一次アウトカムは介入群の4.0%、対照群の10.3%で発生した(相対リスク 0.39)。両群の差は主として心肺代償不全/虚脱のリスク低下によるものであった。
7日目までの重大な出血は介入群の4.1%、対照群の2.2%で発生、30日目までの重大出血はそれぞれ4.1%、3.0%で発生した(いずれも有意差なし)。その他の重篤有害事象にも群間差は認められず、頭蓋内出血の発生はなかった。

評価

カテーテル血栓溶解療法(CDT)については、これまでもULTIMA試験やSEATTLE II試験などが行われてきたが、決定的な結果は出ておらず、ガイドラインでの推奨も限定的であった。
本試験は、超音波ガイド下CDTが心肺代償不全/虚脱のリスクを有意に低減することを明らかにし、選択された中リスク肺塞栓症における役割を再定義した。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)