KRAS G12D変異の膵がん・肺がんで、ファースト・イン・クラスの標的薬が有望結果示す
Setidegrasib in Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer and Pancreatic Cancer

カテゴリー
がん、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
April 2026
394
開始ページ
1409

背景

2023年、ソトラシブがKRAS G12C変異非小細胞肺がん(NSCLC)に対する第3相有効性を証明し、停滞していたKRAS標的治療に大きなブレイクスルーをもたらした。一方で、がん全体で見ればG12C変異よりも患者数の多いG12D変異については、G12C変異でみられる結合可能なシステイン残基を欠いており、標的化が困難と考えらてきた。
アメリカMemorial Sloan Kettering Cancer CenterのParkらは、治療歴を有するKRAS p.G12D変異、進行固形腫瘍患者を対象として、KRAS G12D標的タンパク質分解薬setidegrasib(ASP3082)の安全性・薬物動態・薬力学・抗腫瘍活性を評価する第1相試験を実施した。

結論

203名が登録された。最終的に第2相用量として600 mgが選択されたが、この用量の投与を受けた患者は76名であった。このうち全例で治療期間中の有害事象が発生し、42%はグレード3以上であった。93%で治療関連有害事象が発生し、最も多かったのは一過性の注入に伴う反応(80%)、悪心(30%)であった。600 mgで投与を受けたNSCLC患者(n=45)のうち、36%で部分奏効以上が認められ、無増悪生存期間は中央値8.3ヵ月、12ヵ月生存率は59%であった。600 mgで投与を受けた転移性膵管腺がん患者(n=21)のうち、24%で奏効が認められ、無増悪生存期間(中央値)は3.0ヵ月、生存期間は10.3ヵ月であった。

評価

標的タンパク質と結合しシグナル伝達を阻害する(inhibitor)アプローチに対して、setidegrasibは、KRAS G12D、VHL E3リガーゼとの複合体を形成し、ユビキチン化、プロテアソーム分解へ誘導する(degrader)ことで変異KRASそのものを細胞内から除去する、という発想のファースト・イン・クラス薬である。
この第1相試験では、G12D変異肺がんおよび膵がんに対するsetidegrasibの安全性と、有望な活性が認められた。転移性膵がん患者で化学療法と併用する第3相試験(NCT07409272)のほか、NSCLCでも第3相検証が予定されている。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)