ストレスは本当にがんの原因なのか?
Psychosocial factors and the risk of cancer: An individual-participant data meta-analysis
背景
ストレスなどの心理社会的因子が癌のリスクを高めるとする信念は広く共有されており、一部の研究も両者の関連性を示唆しているが、メタアナリシスの結果は一致しているとは言い難い。
オランダUniversity of Groningenのvan Tuijlらは、Psychosocial Factors and Cancer Incidence(PSY-CA)コンソーシアムに含まれる、ベースラインにおける心理社会的変数の測定が行われたコホート、22件のデータを用いて患者個別レベルのメタアナリシスを行い、心理社会的因子と各種がんとの関連を検討した。
検討の対象となった心理社会的因子はソーシャル・サポート尺度(PSS)、喪失、交際・婚姻ステータス、神経症傾向、全般的な苦痛であった。
結論
コホートには421,799名が含まれ、4,378,582人年の追跡期間で、35,319件のがんが発生した。
心理社会的要因は、全てのがん、乳がん、前立腺がん、大腸がん、およびアルコールに関連するがんのリスク増加とは関連していなかった。
PSS、現在パートナーがいないこと、喪失体験は肺がんのリスク増加と関連した(ハザード比 1.09-1.55)。ただし、PSSと交際・婚姻ステータスに関しては、家族歴などいくつかの既知のリスク因子を調整すると、推定ハザード比は低下した(1.05-1.08)。
交際・婚姻ステータスと喫煙に関連するがんについても同様の結果が得られた。
評価
個別データが利用可能であったコホートのみを含むこのメタアナリシスでは、ベースラインの心理社会的因子はがんリスクとほとんど関連しなかった。わずかに認められた関連も効果は小さく、喫煙など別のがんリスク行動によって媒介されていた可能性がある。
薄弱な根拠を基にストレス・社会関係を過度に重要視してがん患者に無用な後悔を与えるよりは、真に修飾可能なリスクに目を向けるべきであろう。


