がん患者は週400分をがんに関連する治療・タスクに費やす
Time Burden in Patients With Metastatic Breast and Ovarian Cancer from Clinic and Home Demands
背景
がん患者では、治療だけでなく、治療に付随する通院や待機時間、在宅での自己管理や事務的タスクなどが大きな時間的負担となるが、こうした負担はこれまで十分に調査されてこなかった。
アメリカUniversity of MinnesotaのVogelらは、2つの大学病院で転移乳がん・進行卵巣がんに対する薬物療法を受ける患者を募集し、モバイルアプリ(Daynamica; GPSとスマートフォンセンサを用いて位置情報・活動内容を自動収集する)を用いて28日間の行動を記録してもらい、がん関連の医療エピソードに要する時間負担を調査した。
結論
60名が参加した。28%が初回治療中で、15%が維持療法、57%が再発・進行に対する治療中であった。
参加者は、28日間で平均4.2回の自宅外でのがん関連医療エピソードを報告した。このうち治療が36%、クリニック受診が30%、検査。待機時間は19%がなし、44%が15分未満、14%が60分以上であり、エピソードあたりの移動時間は中央値35分で、移動時間と待機時間を合わせると医療を受ける時間よりも長かった。
参加者は、期間中のほとんどの日に(80%)、自宅でがん関連のタスクを行なっていた。タスクには服薬、予約、医療費の処理、症状の管理、健康状態のモニタリング、がん関連の情報収集、援助や移動手段の手配があり、費やされた時間は週209分(中央値)であった。
参加者が自宅内外でがん関連のタスクに費やした時間は週400分(中央値)で、35%の患者はこうしたタスクによって半分以上の日で日常生活が阻害されたと回答した。
評価
近年、ようやく治療による時間負荷(time burden)、あるいは時間毒性(time toxicity)を可視化する研究が現れており、この研究ではスマホアプリを用いることでより精密な時間負荷の測定を行った。
医療者からは認識しづらい一方で、患者中心の医療にとって不可欠な視点であり、今後も研究の蓄積が望まれる。


