身体拘束を減らしてもせん妄は減らない:R2D2-ICU試験
Restrictive vs Liberal Physical Restraint Strategies in Critically Ill Patients: The R2D2-ICU Randomized Clinical Trial

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The Journal of the American Medical Association
年月
March 2026
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背景

集中治療室(ICU)では依然として多くの患者が身体拘束(抑制)を受けている。観察研究では、拘束がせん妄の発症と関連することが示唆されているものの、逆の因果関係の可能性もあり、拘束を減らすことでせん妄を予防できるかどうかは明らかではない。
フランスUniversité Paris CitéのSonnevilleら(R2D2-ICU)は、同国10ヵ所のICUで、侵襲的人工呼吸器の開始から6時間以内で、48時間以上の人工呼吸管理が予測される成人患者を対象に、制限的な身体拘束戦略、または自由な身体拘束戦略を割り付け、14日目までの昏睡・せん妄なき生存日数を比較するRCTを実施した(n=396)。
制限的な身体拘束戦略ではRASSスコア3以上の興奮状態によって必要が生じるまで手首の固定を避け、自由な身体拘束戦略では系統的な手首の固定が行われ、その後は毎日の再評価が行われた。

結論

昏睡・せん妄なき生存日数(中央値)は、制限的戦略群で6.67日、自由戦略群で6.30日と差がなかった。
自己抜管は制限的戦略群の9.2%、自由戦略群の8.5%で発生し、90日死亡率は各群37.2%、41.0%であった。

評価

異なる強度の拘束戦略を比較する初の大規模RCTとみられるが、拘束を最小化してもせん妄は低減されなかった。
せん妄の原因は多因子的であり、身体拘束を減らすだけでは予防は難しいと考えられる。一方で、拘束による自己抜管の防止効果が小さいことも明らかにされており、この集団でのルーチンな身体拘束も支持はされないだろう。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)