外傷患者でのトラネキサム酸、治療ウィンドウは90分以内か:PATCH-Trauma試験の探索的解析
Tranexamic Acid Timing and Mortality Impact After Trauma

カテゴリー
救急医療
ジャーナル名
Annals of Emergency Medicine
年月
January 2026
87
開始ページ
83

背景

トラネキサム酸(TXA)は、CRASH-2試験において早期の外傷性出血患者に対する有効性を示したが、それに続く検証の結果は一致していない。2023年のPATCH-Trauma試験は先進国の重度外傷患者を対象にTXA病院前投与の効果を検討したプラセボ対照試験であったが、機能的アウトカムとの関連は認められず、28日死亡率のみTXA群での低下を認めた。
オーストラリアAustralian National UniversityのAliらは、同試験における探索的解析として、TXA(入院前に1 gのボーラス投与、到着後8時間で1 g点滴)の28日死亡率へのベネフィットが、受傷から最初の投与までの時間によって影響されるかを検証し、至適な治療ウィンドウを決定した。

結論

治療意図(ITT)に基づき、1,287名の患者が本解析のコホートを構成した。受傷から最初のTXA投与までの時間は中央値79分であった。
28日死亡リスクは、最初の投与までの時間が延長するに伴って増加し、特に90分以内ではベネフィットが顕著であった。90分を超えるとリスク比の95%信頼区間上限が1を超えた。
受傷から90分以内に投与された場合の28日死亡率は、TXA群で17%、プラセボ群で25%と、TXAによる有意なリスク低下がみられた(リスク比 0.64)。一方で90分を超えた場合のリスク比は1.04であった。

評価

PATCH-Trauma試験の探索的解析から、TXAのベネフィットが受傷後90分以内に限られる可能性を示唆した。
CRASH-2試験やSTAAMP試験の解析も、1時間以内で最も効果が高いことを示しているが(https://doi.org/10.1016/S0140-6736(11)60278-X, https://doi.org/10.1001/jamasurg.2020.4350)、本解析は、TXAの治療ウィンドウが超早期に限られるという新たなデータを追加する。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)