転位を伴う上腕骨内側上顆骨折は保存療法でよい:SCIENCE試験
Surgical fixation versus non-surgical care for children with a displaced medial epicondyle fracture of the elbow (the SCIENCE study): a multicentre, randomised controlled, superiority trial and economic evaluation

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
February 2026
407
開始ページ
577

背景

上腕骨内側上顆骨折は小児の肘関節損傷の1割ほどを占めるとされ、開放創やWatson-Jones分類III型(関節内への陥入)は手術の絶対適応とされるが、骨片転位例での手術に関しては依然として議論が続いている。
イギリスUniversity of LiverpoolのPerryら(SCIENCE)は、イギリス・オーストラリア・ニュージーランドの三次医療機関59施設で、転位を伴う上腕骨内側上顆骨折を有する7〜15歳の患者を、手術療法または保存療法へと割り付け、12ヵ月時点での上腕機能を比較する優越性RCTを実施した(n=647)。

結論

適格性に基づく除外や参加辞退があり、最終的に335名がランダム化を受けた。
患者報告アウトカムとしての上腕スコアは、手術療法群で54.3ポイント、保存療法群で53.1ポイントと有意な差は認められず(平均治療差1.57ポイント)、臨床的に重要な差(4ポイント)を下回った。
合併症に関連する追加の手術は手術療法群で多く発生した(24 vs. 3)。また、手術療法群では9%で術中合併症、5%で術後合併症が発生した。
NHSおよびPersonal Social Servicesの観点からは、手術療法群では平均2,435ポンドの追加コストが必要であり、質調整生存年(QALY)あたり2万/3万ポンドの支払意思額閾値において手術療法が費用効率的である確率は0%であった。

評価

絶対適応のない上腕骨内側上顆骨折では、手術療法と保存療法で上腕機能に差はみられず、さらに手術療法の方が費用対効果が高い確率も0であった。
このテーマに関して100名を超える規模のRCTは初であり、保存治療を新たな標準治療に設定するエビデンスとなるだろう。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)