TP53 Y220C変異がんでp53再活性化薬Rezatapopt(PC14586)が抗腫瘍活性示す
Phase 1 Study of Rezatapopt, a p53 Reactivator, in TP53 Y220C-Mutated Tumors

カテゴリー
がん、Top Journal
ジャーナル名
The New England Journal of Medicine
年月
February 2026
394
開始ページ
872

背景

TP53は転写因子p53をコードする腫瘍抑制遺伝子である。TP53の変異は腫瘍の形成と進行において重要な役割を担っており、固形腫瘍患者の半数以上でTP53の変異がみられ、予後不良と関連する。TP53変異がんに対する治療戦略では、変異型p53で野生型様の機能を回復させる再活性化薬(reactivator)が注目されている。
アメリカUniversity of Texas M.D. Anderson Cancer CenterのDumbravaらは、TP53 Y220C変異を有し、多治療歴の局所進行・遠隔転移固形がん患者を対象とした第1-2相試験、PYNNACLE試験において、経口選択的p53再活性化薬rezatapopt(PC14586)を投与し、最大耐用量と第2相推奨用量を決定した(第1相パート)。

結論

77名が8段階の漸増用量でrezatapopt投与を受けた。
最大耐用量は8段階目の1日2回1,500 mgであり、第2相推奨用量は6段階目の1日1回2,000 mgと決定された。
99%の患者が治療期間中に有害事象を発現し、最も多くみられた有害事象は、悪心、嘔吐、クレアチニン上昇、倦怠感、貧血であった。治療関連有害事象は87%で発現、3%が治療関連有害事象により投与中止となった。消化器系有害事象の多くは治療により軽快し、食事と一緒に投与した場合には発現頻度が低下した。
全奏効率は患者全体で20%、KRAS野生型がんで1日1回1,150mg以上の用量で投与を受けた患者では30%であった。奏効が認められた患者は全員がTP53 Y220CかつKRAS野生型腫瘍であった。

評価

TP53 Y220C変異は発生割合としてはTP53変異の中で9番目、全がん患者のうち1%ほどであるが、p53タンパク質に薬剤が入り込めるポケットを形成する「都合のよい」変異であり、TP53 Y220C変異患者を対象としたこの第1相試験は、rezatapoptの有望な抗腫瘍活性を示した。
p53再活性化薬として先行したeprenetapopt(APR-246)は第3相が失敗に終わっていたが、本試験はより限定された集団でのp53再活性化に改めて道筋を示すものである。特にKRAS野生型との関連が重要とみられ、この集団を対象に第2相パートが進行中である。

関連するメディカルオンライン文献

大規模臨床試験、新規の薬・機器・手法・因子・メカニズムの発見に関する文献を主に取り上げ、原文の要約と専属医師のコメントを掲載。

(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(がん)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Journal of Clinical Oncology (JCO)、Journal of the National Cancer Institute(JNCI)、Lancet、The New England Journal of Medicine(NEJM)、Cancer Research (Cancer Res)