世界の感染症死の10%は肥満に起因する
Adult obesity and risk of severe infections: a multicohort study with global burden estimates

カテゴリー
生活習慣病、Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
March 2026
407
開始ページ
951

背景

肥満と慢性疾患との関連が広く知られるが、多様な感染症リスクとの関連は。
フィンランドUniversity of HelsinkiのNybergらは、フィンランドと英国の計54万人以上のデータを用い、BMIと925種類の細菌・ウイルス・寄生虫・真菌感染症による入院・死亡リスクの関連を分析し、世界的な影響を推計した。

結論

BMIの上昇に伴い、感染症による入院・死亡のリスクが段階的に高まった。健康体重群と比較して、クラスIII肥満(BMI 40以上)の群では感染症関連の入院リスクが約3.1倍、死亡リスクが約3.5倍に達した。このリスクは病原体の種類や個人の臨床背景にかかわらず一貫しており、世界全体では感染症による死亡の約10.8%(2023年推計)が肥満に起因していた。

評価

UK Biobankデータを使用し、925種の感染症とBMIとの関連を検討したランドマーク研究である。COVID-19を始めとして、呼吸器感染症や皮膚・軟部組織感染症等広範な疾患において肥満がリスク因子であることを確認した。著者らは、肥満に伴う慢性炎症や免疫応答の低下が、病原体の侵入だけでなく発症後の重症化にも関与している可能性を強調している。
SELECT等(https://www.jacc.org/doi/10.1016/j.jacc.2024.08.007)では、GLP-1受容体作動薬による体重管理が感染症死を減少させた報告もあり、本研究の結果はそれらとも整合する。ただし、HIVや結核など、疾患による消耗(体重減少)が予後に直結する一部の疾患では、逆相関がみられることもある。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(生活習慣病)

Journal of the American Medical Association (JAMA)、The New England Journal of Medicine (NEJM)、Lancet、Diabetologia、Diabetes Care (Diabetes Care)