オーツ麦は腸内細菌を介してコレステロールを下げる
Cholesterol-lowering effects of oats induced by microbially produced phenolic metabolites in metabolic syndrome: a randomized controlled trial
背景
オーツ麦のコレステロール低下作用は、主に食物繊維β-グルカンの働きと考えられてきた。
ドイツUniversity of BonnのSimonらは、オーツ麦に含まれるフェノール化合物が腸内細菌によって代謝され、その代謝物がコレステロール代謝に直接関与するというメカニズムに着目し、代謝症候群(MetS)の男女68名を対象に、オーツ麦の2日間の高用量(1日300g)摂取と6週間中用量摂取(1日80g)という2つのパターンで、脂質代謝や腸内フローラへの影響を比較検証した。
結論
2日間の高用量摂取により、血中のフェルラ酸(FA)やジヒドロフェルラ酸(DHFA)などのフェノール代謝物が有意に増加し、総コレステロールが8%、LDLコレステロールが10%低下した。6週間の中用量摂取でもFAの上昇は確認されたが、脂質改善は高用量摂取ほど顕著ではなかった。DHFAはコレステロール合成に関わる酵素HMGCRの抑制に寄与している可能性があり、特定の腸内細菌(Erysipelotrichaceae UCG-003)が、これらの代謝を担っていることが示唆された。
評価
オーツ麦の有用性が、β-グルカンという単一成分だけでなく、腸内細菌によるフェノール化合物の分解産物によっても駆動されていることを多角的オミクス解析で証明した。著者らは、2日間という極めて短期間の介入でスタチンに匹敵する臨床的意義のある数値が得られたことを強調しており、肥満関連の脂質異常症に対する迅速な治療オプションとしての可能性を示唆している。6週間摂取で効果が限定的だった背景には個人の腸内細菌叢の差異や食事内容の多様性が影響していると考えられ、中用量の摂取においてはパーソナライズされた栄養戦略が必要である。特定のフェノール代謝物をターゲットにする、という新たな微生物標的戦略を切り開いた点でも重要である。


