脳出血への第VII因子製剤投与、「もっと早く」も無益か:FASTEST試験
Recombinant factor VIIa versus placebo for spontaneous intracerebral haemorrhage within 2 h of symptom onset (FASTEST): a multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled, phase 3 trial

カテゴリー
救急医療、Top Journal
ジャーナル名
The Lancet
年月
February 2026
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背景

遺伝子組み換え活性型第VII因子(rFVIIa)は血友病を想定して開発された止血薬であるが、脳出血の急性期における血腫増大を抑制する効果が期待され、20年以上にわたり検証が行われている。2008年に結果が公表されたFAST試験では、発症4時間以内の脳出血患者においてrFVIIaによる血腫増大抑制は示された一方で、機能的アウトカムの改善は認められなかった(https://doi.org/10.1056/NEJMoa0707534)。
アメリカUniversity of CincinnatiのBroderickら(FASTEST)は、アメリカ・日本・カナダ・スペイン・ドイツ・イギリスの93施設で、発症2時間以内、2〜60 mLの特発性(非外傷性)脳出血、脳室内出血(IVH)が片側2/3未満、両側1/3未満、GCSが8以下の患者に対し、組換え第VIIa因子(80 μg/kg)またはプラセボを投与し、180日時点での機能的アウトカム(修正ランキンスケール)を比較する第3相RCTを実施した。

結論

第2回の中間解析において無益性の基準が満たされ、試験は中途終了となった。626名がランダム化を受けた。35%が女性で、平均年齢は61歳であった。
発症から試験薬投与までの時間は平均100分であった。介入群とプラセボ群で180日時点のmRSに差は認められなかった(調整済み共通オッズ比 1.09)。
4日以内に発生した生命を脅かす血栓塞栓性合併症は、介入群で15件(<5%)、プラセボ群で4件(1%)と、介入群で増加した(相対リスク 3.41)。一方でrFVIIaは、プラセボと比較して、24時間時点のCT画像上での脳出血増大の減少(−3.7 mL)、脳出血・脳室出血増大の減少(−5.2 mL)と関連した。

評価

より早期であれば血腫抑制の効果が現れるのではないか、という自然な発想に基づき、モバイル脳卒中ユニットなども活用して超早期投与を検証したが、機能的アウトカムの改善は認められず、血栓合併症リスクの上昇も生じた。 本試験のサブ解析は、90分以内、およびCT上で持続的出血の徴候(spot sign)を認める患者での有望性を示唆しており、集団をさらに濃縮したFASTEST Part 2試験がすでに開始されている(NCT07227246)。

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(制作協力:Silex 知の文献サービス

取り上げる主なジャーナル(救急医療)

The Journal of the American Medical Association(JAMA)、Lancet、Critical Care Medicine (Crit Care Med)、The New England Journal of Medicine (NEJM)