アスピリンによるがん予防はどの集団に有効か?:ASPREE試験の二次解析
Recombinant factor VIIa versus placebo for spontaneous intracerebral haemorrhage within 2 h of symptom onset (FASTEST): a multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled, phase 3 trial
背景
アスピリンの長期服用は大腸がんのリスクを抑制することが知られており、リンチ症候群やPI3K変異大腸がんの患者に対してはアスピリン服用が有効とされている。一方で、がん全般への効果を検証したASPREE試験は否定的結果に終わっており、アスピリンによる一次予防戦略がどのような集団に対して有効なのかは議論が続いている。
アメリカUniversity of CincinnatiのBroderickらは、オーストラリア・アメリカの、心血管疾患・認知症・障害のない70歳以上の高齢者(n=19,114)に、1日100 mgのアスピリンまたはプラセボをランダムに割り付けたASPREE試験の二次解析を実施した。この解析では、オーストラリア在住でクローン性造血(CHIP)の評価が可能であった試験参加者(n=9350)を対象として、アスピリンによるがん予防効果の異質性を評価し、個別化治療の可能性を検討した。
結論
低用量アスピリンのベネフィットに関連する因子として、高齢、非喫煙、変異アレル頻度が10%以上のCHIP、がん家族歴、低BMIなどがあり、このうちCHIPは最も強力な予測因子であった。
がんリスクの低減を最大化するモデルを選択し、これに基づく個別化治療を検証したところ、全参加者でのアスピリン予防戦略と比して、5年絶対がんリスクを2.3%改善した(中央値)。治療が有益なサブグループに対するアスピリンは、がんリスク低下と関連し(ハザード比 0.85)、対して治療が不利益なサブグループではがんリスク上昇と関連した(1.14)。
評価
ASPREE試験では、予想に反してアスピリン群でがんリスクの増加が認められていたが、本解析はアスピリンのがん予防効果に有意な異質性がみられること、これらを考慮した治療集団の選択を行うことで予防効果を改善しうることを示唆した。
すべての高齢者でCHIP検査を行うことは現実的ではなく、直ちに一次予防戦略へとつながるデータではないものの、アスピリンのがん予防効果についてはまだ知るべきことが多く残されていると言えそうだ。


