ミノサイクリンが急性期脳梗塞に有益:EMPHASIS試験
Efficacy and safety of minocycline in patients with acute ischaemic stroke (EMPHASIS): a multicentre, double-blind, randomised controlled trial
背景
ミノサイクリンは、皮膚疾患や呼吸器感染症に対して用いられるテトラサイクリン系抗菌薬であるが、前臨床・小規模研究では、虚血性脳卒中後の患者において神経保護的に働くことが示唆されている。
中国Capital Medical UniversityのLuら(EMPHASIS)は、同国全土58施設の病院で、発症72時間以内かつNIHSSスコア4-25の虚血性脳卒中患者の通常治療において、ミノサイクリンまたはプラセボを追加し、90日時点での機能的良好アウトカム(修正ランキンスケール0-1)を比較する多施設RCTを実施した(n=1,724)。
結論
機能的良好アウトカム率は、ミノサイクリン群で52.6%、プラセボ群で47.4%と、ミノサイクリン群で有意に改善した(調整済みリスク比 1.11)。mRSスコアの全体を考慮した順序解析においてもミノサイクリン群の優位性は示された(調整済み共通オッズ比 1.19)。
症候性頭蓋内出血の発症率は両群とも同程度であり(24時間時点で0.1% vs. 0%, 6日時点で0.3% vs. 0%)、重篤有害事象についても有意差は認められなかった(4.6% vs. 5.9%)。
評価
神経炎症や血液脳関門障害を抑制する等の機序により神経保護効果が示唆されてきた薬剤で、この試験においては、軽症が中心の患者集団(NIHSSの中央値は5)を対象に、わずかだが有意な機能的アウトカムの改善を実証した。
脳梗塞に対する神経保護アプローチの検証にはnerinetideなど微妙な結果も多かったが、本試験の成功は神経保護戦略が臨床的に成立しうることを確認するものである。外部妥当性の検証と有効集団の明確化が次の課題となる。


