「スタチンの副作用」の多くには根拠がない:大規模RCTのメタ解析
Assessment of adverse effects attributed to statin therapy in product labels: a meta-analysis of double-blind randomised controlled trials
背景
スタチンの添付文書(例: SmPC)には多くの副作用が記載されているが、その多くはバイアスの入りやすい非ランダム化比較試験に基づいている。
Cholesterol Treatment Trialists' (CTT) Collaborationは、大規模RCTの個別参加者データのメタアナリシスにより、5種類のスタチンの添付文書に記載された「好ましくない事象」の因果関係を評価した。
結論
対プラセボ試験19件(123,940名)と高用量 vs. 低用量試験4件(30,724名)のデータを解析した。既に知られている筋肉症状や糖尿病以外で因果関係が示唆されたのは、全66項目中4項目のみであった。具体的には、肝トランスアミナーゼ異常(相対リスク[RR]: 1.41)およびその他の肝機能異常(1.26)において用量依存的なリスク増加が確認されたほか、尿組成変化(1.18)と浮腫(1.07)でわずかな増加が認められた。しかし、記憶障害・睡眠障害・性機能不全・抑うつなど、添付文書に記載されている大多数の項目については因果関係を裏付ける証拠が得られなかった。
評価
同グループがスタチンの筋系副作用に関して行ったメタアナリシス(https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(22)01545-8/fulltext)を、副作用全般に展開した研究である。「スタチンのベネフィットはリスクを遥かに上回る」という結論が再度補強された。著者らは、2012〜13年頃に流布された「副作用が5分の1の患者に起こる」という誤った主張により、英国だけで20万人以上が服用を中止し、結果として数千件の回避可能な心血管イベントが発生した可能性を指摘している。CTT Collaborationは、規制当局に対し、根拠に基づかない副作用記載を削除するなどの添付文書改訂を求めている。ただし、極めて稀な副作用や、試験期間(中央値4.7年)を超えた長期使用による影響については、依然として検出力に限界がある。


