セマグルチドによるCVD二次予防使用の費用対効果は
Cost-Effectiveness of Semaglutide for Secondary Prevention of Cardiovascular Disease in US Adults
背景
セマグルチドは、糖尿病(DM)のない肥満・過体重の心血管疾患(CVD)患者において、主要心血管イベント(MACE)リスクを減少させるが、米国における薬剤価格の高さと対象患者数の多さから、生涯にわたる治療の経済的妥当性と国家レベルの医療財政への影響が懸念されている。
アメリカUniversity of CaliforniaのHennessyらは、CVDの二次予防の対象となるDMのない成人約400万人を対象に、米国における二次予防としてのセマグルチドの費用対効果を検証するコホートシミュレーション研究を行った。
一次アウトカムは、生涯にわたるMACE、質調整生存年(QALY)あたりの増分コスト、および米国の年間医療費の変化であった。
結論
CVD二次予防へのセマグルチドの導入により、約35.8万件の生涯MACEが回避され、220万のQALYが追加されるが、2023年時点の正味価格(年8,604ドル)では増分費用効果比(ICER)がQALYあたり14万8,100ドルとなり、標準的な基準(12万ドル)を超過した。費用対効果を達成するには、年間薬剤費を現状からさらに18%削減し、7,055ドル以下に抑える必要がある。セマグルチドの導入は、年間230億ドルの医療費増を招くと予測された。
評価
セマグルチドの健康上の利益を認めつつも、現行の米国価格では「費用対効果が高い」とは言えない現状を明確にした。著者らは、その有効性がPCSK9阻害薬に匹敵するものであると評価する一方で、薬剤費の削減が普及の鍵であると強調している。
2025年からのMedicareの価格交渉において、本知見が価格設定の重要な指標となる可能性が指摘される。過去には、PCSK9阻害薬が費用対効果分析を受けて60%の値下げに踏み切った歴史的背景があり、セマグルチドも同様の価格調整が期待されている。本研究は米国市場特有の価格設定に基づいているため、日本に直接適用はできない。


